「ラズパイ」「マイコン」という言葉を聞いて、「自分には関係ない世界だな」と感じる医療職は多いと思います。私ももともとそうでした。手のひらサイズのコンピューターや、豆粒みたいな部品。何ができるのか、まったくピンと来ませんでした。
でも、ほんの少し触ってみると、これが「身近なことをちょっとだけ自動で動かす」入口として、とても面白いんです。今日は、難しい話は抜きにして、医療職の目線で「何に使えそうか」をやさしくお話しします。
そもそも「ラズパイ」「マイコン」って何?
ざっくり言うと、どちらも小さなコンピューターです。
- ラズパイ(ラズベリーパイ):手のひらサイズの、小さいけれど一通りのことができるコンピューター
- マイコン:もっと小さく単純で、「決まった仕事を1つこなす」のが得意な部品
イメージとしては、ラズパイが「小さなパソコン」、マイコンが「決まった動きをする小さな脳みそ」くらいの感覚です。難しい仕組みを覚えなくても、「小さくて安い、自分で動かせる機械」と思っておけば十分です。
医療職目線で「何に使えそう」か
ここで大事なのは、いきなり仕事の機器に組み込もうとしないことです。あくまで「自分の手元の、ちょっとした困りごと」から考えるのがコツです。たとえば、こんな“身近な自動化”が入口になります。
- 決まった時間に、自分用のメモやリマインドを表示させる
- 温度や明るさといった身の回りの状態を、自動で記録してみる
- 繰り返しのちょっとした作業を、ボタン一つで動くようにしてみる
どれも「すごい発明」ではありません。でも、「自分で機械に仕事をさせた」という体験が、何より大きいんです。AIや自動化を“使う側”に回る感覚が、ここで一気に身につきます。
最初の一歩で迷わないために
「やってみたいけど、何を買えば?」と迷う方へ。私が思う、いちばんつまずきにくい入口はこの順番です。
| 段階 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 1 | 手のひらサイズの小型コンピューター1台を用意 | 「自分専用の実験台」を持つ |
| 2 | 画面に「今日の予定」を表示させてみる | 表示=いちばん結果が見えて楽しい |
| 3 | 決まった時間に自動で更新させる | 「勝手に動く」を体験する |
いきなり複雑なセンサーや配線に手を出すと、たいてい心が折れます。まず「画面に何か出す」から始めると、成功体験が早くて続きます。作り方そのものは、いまはAIに聞けば手順を教えてくれます(もちろん、そこでも職場や患者さんの情報は使いません)。
いちばん大事な注意点
ひとつだけ、強く意識していることがあります。
職場の医療機器や院内のネットワークには、こうした自作のものを勝手につなげないということです。
医療機器は安全のために厳しく管理されています。自作の電子工作を現場の機器や情報システムに接続するのは、安全面でも規程の面でも大きなリスクになります。私が楽しんでいるのは、あくまで自宅での「自分の持ち物」を相手にした遊びの範囲です。ここの線引きは外せません。
「作る楽しさ」が、AIへの理解にもつながる
不思議なもので、小さな機械を自分で動かしてみると、「コンピューターはこういう順番・条件で動くんだ」という感覚が体でつかめてきます。これは、AIに上手に指示を出すときの土台ともそっくりです。
職業エンジニアになる必要はありません。「機械って、頼めば動いてくれるんだ」という手ごたえを、遊びながら知っておく。その小さな経験が、AI時代の道具と付き合う地味だけど確かな自信になってくれます。
身構えず、まずは「手のひらサイズの相棒」を一つ、休みの日にでも触ってみてください。
こうした「小さく自動化して遊ぶ」は、学習ロードマップの4番目のステップにあたります。全体像はこちらに書きました。
→ 非エンジニアの医療職が“自動化”を覚えるまでの学習ロードマップ
【お知らせ】「遊び」を「仕事の武器」にする実物をnoteで公開しています
手を動かす楽しさが分かってきたら、次は仕事で安全に活かす番です。そのための実物をひとまとめにした、私の有料note(500円) を公開しています。宣伝にはなりますが、「作る楽しさを、現場でも役立てたい」という方には合う内容だと思います。
- AIに最初に渡すルールファイルの完全版+職種別の追記例(技師・看護・事務)
- 患者情報を入れずに使える安全プロンプト集10本(検査説明・議事録・報告書テンプレなど)
- うっかり入力してしまった時の対応マニュアル
- 職場に提案できる院内AI利用ガイドラインのひな形(全文)
→ 医療職のためのAI安全活用スターターキット〜「使いたいけど怖い」を、今日おわらせる〜
第1章まで無料で読めますので、まずはのぞいてみてください。
※本記事は一般的な電子工作・自動化の楽しみ方を紹介するものです。医療機器・院内システムへの接続や業務利用は、安全管理上のリスクがあるため行わないでください。実際の運用は各施設の規程に従ってください。

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