医療職がAIを使うとき、いちばん怖いのは「便利さにつられて、入れてはいけない情報まで入れてしまう」ことです。患者さんの情報や、職場が分かる話。これはどんなに気をつけていても、忙しいときにうっかりやってしまう危険があります。
そこで私が大事にしているのが、作業を始める前に「これだけは守って」をAIにまとめて渡しておくという習慣です。今日はその考え方と、そのままコピペで使える作例を紹介します。
なぜ「最初に渡す」のが効くのか
人間でも、仕事を頼むときに「これは社外秘だから気をつけてね」と先に一言あるかないかで、結果はずいぶん変わります。AIも同じで、毎回の指示の前に共通のルールを読ませておくと、その範囲を意識して動いてくれます。
毎回「患者情報は入れないでね」と打ち込むのは面倒ですし、忘れることもあります。だったらルールを1つのファイルにまとめて、最初に1回読ませるほうが確実で、ラクです。
ルールファイルに書いておくとよいこと
難しく考える必要はありません。柱は4つです。
- 出してはいけない情報を具体的に挙げる(患者が分かる情報・病院名・地域・院内の文書など)
- 現場の話は「どの施設にも当てはまる一般論に直してから使う」と決めておく
- 迷ったら勝手に進めず、いったん止めて確認するよう伝えておく
- パスワードや鍵のような情報は、文章にもメモにも書かない
ポイントは、「やってほしいこと」より「やってはいけないこと」をはっきり書くことです。守りの線さえ引いておけば、安心して便利に使えます。
そのまま使える作例(コピペOK)
私が実際に使っているものを、どの医療職でも使える形に直した作例です。まずはこのまま貼って、自分の仕事に合わせて書き足してください。
# AIへの事前ルール(このチャット・この作業では必ず守ること)
## 1. 絶対に出力・保存しない情報
- 患者個人につながる一切(氏名・年齢・性別・疾患名・検査日・番号類)
- 勤務先が特定できる情報(施設名・地域・部署・設備名・同僚の名前・具体的な日時の出来事)
- 院内の非公開情報(院内文書・様式・実際のトラブル事例の生データ)
- パスワード・認証情報・個人のメールアドレス
## 2. 私が上記をうっかり貼ってしまったら
- そのまま使わず、まず「特定につながる恐れがあります」と警告する
- 使う場合は「どの施設にも当てはまる一般的な話」に直してから使う
- 判断に迷ったら、勝手に進めず止まって私に確認する
## 3. 文章を作るときのルール
- 個別の医療アドバイスをしない(「あなたはこうすべき」と言わない)
- 「必ず」「絶対」「治る」などの断定・誇大表現を使わない
- 作った文章は「たたき台」。最終確認と責任は人間の私が持つ
このくらいの分量で十分に効きます。大事なのは完璧なルールを作ることではなく、「入口に守りの線を引いてから使い始める」ことです。
ツール別・ルールの渡し方
同じ内容でも、渡し方はツールごとに少し違います。
- ChatGPT:チャットの最初に上の作例を貼ってから本題に入る。毎回使うなら、設定の「カスタム指示(またはパーソナライズ)」に登録しておくと自動で効きます
- Claude:同じくチャット冒頭に貼るか、「プロジェクト」機能の指示欄に入れておくと、そのプロジェクト内でずっと有効です
- Claude Code:作業フォルダに `CLAUDE.md` という名前で保存すると、毎回自動で読み込まれます
- Codex:同じ内容を `AGENTS.md` という名前で保存します
「ファイルに書いて置いておくだけで毎回勝手に読んでくれる」のがClaude CodeやCodexの便利なところですが、普通のChatGPT・Claudeでも「最初に貼る」だけで効果は十分あります。
便利な道具ほど、最初の一手間を
AIはとても便利な道具です。便利だからこそ、入口で守りの線を引いておくことが、結局いちばん安全で長続きするやり方だと感じています。
まずは上の作例をコピペするところからで構いません。「これだけは守って」を先に渡す。それだけで、AIとの付き合い方がぐっと安心なものになります。
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※本記事は一般的なAI活用と情報管理の考え方を紹介するものです。実際の運用では、各職場の規程や守秘義務に必ず従ってください。

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