医療の現場って、画像や検査そのものより、書類仕事に時間を取られていることが意外と多いんです。説明文やマニュアル作成、インシデント報告に議事録…。同じような内容を毎回ゼロから手で書いている場面は、どの施設でもよく見かけます。
私はそこをAIに少し手伝ってもらうようにしました。結論から言うと、毎日10分くらいが地味に浮きました。
何をしたか
やったことはシンプルで、「よく使う説明のパターン」をAIに渡して、たたき台(下書き)を出させるだけです。
- いつも伝える内容の要点を箇条書きで渡す
- 「やさしい言葉で」「3行で」など条件をつける
- 出てきた文章を、自分の言葉に直して仕上げる
ポイントは、最初から完璧を狙わないこと。AIの出力は“たたき台”であって、最終形ではありません。でも「ゼロから書く」のと「直す」のとでは、かかる労力がぜんぜん違います。
使うのは、ChatGPTやClaudeのような文章が得意なAIで十分です。無料プランから始められます。
実例①:検査説明文のたたき台を作らせる
たとえば、検査を受ける方向けの一般的な説明文なら、こんな頼み方をします。そのままコピペして、中身を自分の検査に置き換えて使ってください。
あなたは医療機関の広報担当です。
検査を受ける患者さん向けの説明文のたたき台を作ってください。
【検査】MRI検査(一般的な説明でよい)
【伝えたい要点】
・強い磁石を使う検査なので、金属類は外していただく
・検査中は大きな音がする
・時間はおよそ20〜40分
【条件】
・中学生にも分かるやさしい言葉で
・不安をあおらない、断定しない
・200字以内
すると、要点を押さえたやさしい文章が数秒で返ってきます。これを自分の施設の言い回しに直せば完成です。ゼロから書くと30分以上かるものが、直すだけなら10分。この差が毎日積み重なります。
実例②:報告書のたたき台を作らせる
文章仕事は説明文だけではありません。たとえばインシデント報告のような「型が決まっている文章」も、型そのものをAIに作らせておくと後がラクです。
医療現場の転倒インシデント報告書の「記入テンプレート」を作ってください。
・発生状況/要因の分析/再発防止策 の3部構成
・それぞれに「書くべき観点」を箇条書きのヒントとして添える
・特定の事例ではなく、どの施設でも使える一般的な様式として
大事なのは、実際の事例をAIに入力するのではなく、「空欄のテンプレート」を作らせるという使い方です。実例はテンプレートに自分で(AIの外で)書き込みます。これなら患者情報は一切AIに渡りません。
「AIで文章なんて」と言われたら
職場や上司によっては、AIで文章を作ることに抵抗を持つ方もいます。その気持ちも分かります。ただ、一度立ち返りたいのは、文章の本来の目的です。
説明文の目的は「相手に分かりやすく伝わること」。
報告書の目的は「再発を防ぐ改善策につなげること」。
自分で考えて書くことが目的ではないはずです。
AIはたたき台を出す道具にすぎず、内容の確認と最終責任は必ず人が持つ。
ここさえ守れば、目的にはむしろ近づきます。
もちろん、職場にAI利用のルールや規程がある場合はそちらが最優先です。まずは自分のメモや下書きなど、影響の小さいところから試すのが現実的だと思います。
いちばん大事な注意点
ひとつだけ、強く意識していることがあります。
患者さんの情報や、職場が特定できる情報は、絶対にAIに入力しないということです。
上の実例2つも、よく見ると「一般的な内容」と「空欄の型」しか渡していません。固有の事例や個人が分かる話は、AIの外で扱う。便利だからこそ、ここの線引きは外せません。
画像より「書類」が自動化の宝庫
不思議なもので、医療の自動化というと高度な画像解析を想像しがちですが、いちばん効くのは地味な事務作業だったりします。定型なものほどAIと相性がよく、効果がすぐ出ます。
「大きな1つ」を変えようとすると大変ですが、「小さな10分」を積み重ねるのは今日からできます。気になった方は、まず自分の“いつもの書類”を1つ、上のプロンプトを真似してたたき台から作ってみてください。
【お知らせ】医療職のための「AI安全活用スターターキット」をnoteで公開しています
この記事で紹介した「AIにたたき台を頼む」やり方を、コピペで使えるプロンプト集として一冊にまとめました。宣伝にはなりますが、この記事が役に立った方には合う内容だと思います(有料note・500円)。
- AIに最初に渡す情報漏洩防止ルールファイルの完全版+職種別の追記例
- 患者情報を入れずに使える安全プロンプト集10本(検査説明・議事録・報告書テンプレなど)
- うっかり入力してしまった時の対応マニュアルと院内AI利用ガイドラインのひな形
→ 医療職のためのAI安全活用スターターキット〜「使いたいけど怖い」を、今日おわらせる〜
第1章まで無料で読めますので、まずはのぞいてみてください。
※本記事は一般的な業務効率化の考え方を紹介するものです。AIの利用可否や文書の取り扱いは、必ず各職場の規程・守秘義務に従ってください。

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