「検査が必要と言われたけど、妊娠中(かもしれない)」「授乳中だけど、この検査は受けていいの?」——検査室で出会う不安の中でも、これはいちばん切実なものだと思います。
最初に、この記事の立場をはっきりさせておきます。「受けて大丈夫」「やめたほうがいい」という判断は、この記事ではしません。それは、あなたの状況を直接知っている主治医だけができる判断だからです。
そのうえで、現場の技師として書けることがあります。それは、安心して相談するための「準備」です。何を、いつ、どう伝えればいいか。これが分かっているだけで、不安はずいぶん軽くなります。
本記事は一般的な考え方の紹介です。個別の検査の可否・時期・方法は、必ず主治医・検査を受ける医療機関にご相談ください。
大原則は3つだけ
① 妊娠中・妊娠の可能性・授乳中は、必ず事前に伝える
問診票に書く欄がありますが、書いたうえで口頭でも伝えてください。「可能性があるかも」の段階でも伝えてOKです。むしろ、その段階で伝えてもらえるのがいちばん助かります。
② 自己判断で「受けない」「黙って受ける」をしない
心配のあまり、必要な検査を自己判断でキャンセルしてしまう。逆に、言い出せずにそのまま受けてしまう。どちらも、いちばん避けてほしい選択です。検査には「その検査が必要になった理由」があります。受ける・受けない・延期する・方法を変える——その調整は、理由を知っている医師にしかできません。
③ 「調整の余地」があることを知っておく
検査には、放射線を使うもの(レントゲン・CTなど)と、使わないもの(超音波・MRIなど)があります。また、時期をずらせる検査もあれば、急ぐ検査もあります。伝えることで、選択肢の中から最適な方法を検討してもらえる。これが「事前に伝える」ことの最大の価値です(どの方法になるかは、医師が判断します)。
相談のとき、伝えるといいこと
メモして持っていくと安心なリストです。
- 妊娠しているか・その可能性があるか(最後の月経の時期が分かれば、それも)
- 妊娠中なら現在の週数・かかりつけの産科があること
- 授乳中であること(授乳のペースも聞かれることがあります)
- 何が不安か(「赤ちゃんへの影響が心配」など、そのままの言葉で)
最後のひとつは意外に思われるかもしれませんが、大事です。不安の中身が分かると、医師も検査スタッフも、その不安に沿った説明ができます。「うまく質問できないから」と黙ってしまうのがいちばんもったいない。そのままの言葉で大丈夫です。
「放射線」への不安に、ひとつだけ一般論を
放射線を使う検査への不安には、「浴びたかどうか」ではなく「どのくらいの量か」で考えるという基本の考え方があります。量の感覚は、こちらの記事でやさしく説明しています。
→ 「ミリシーベルト」ってどのくらい?被ばくをなんとなく分かるたとえ話
ただし、繰り返しになりますが、「だから大丈夫」とこの記事が言うことはできません。量と必要性を天秤にかけて判断するのは、あなたの状況を知っている医師の仕事です。この記事の役割は、その相談の場に、あなたが安心して座れるようにすることまでです。
授乳中の検査について
授乳中の検査、特に造影剤やお薬を使う検査については、「授乳を続けていいか・一時的に控えるか」が気になるところだと思います。これは使う薬剤や検査の種類、施設の方針によって対応が異なる領域で、一律の答えを書くことができません。
だからこそ、ここでも原則は同じです。授乳中であることを事前に伝えて、指示があればそれに従う。事前に伝えておけば、授乳のスケジュールを含めた調整の相談ができます。
検査室で私たちができること
最後に、現場からひとつだけ。妊娠中・授乳中の方の検査では、私たち技師も普段以上に確認を重ねています。問診票の確認、声かけ、方法の再確認。あなたが伝えてくれた情報は、そのすべての出発点になります。
「何度も同じことを聞かれる」と感じたら、それは確認の網を何重にも張っているということ。安心の仕組みが働いている証拠だと受け取ってください。
まとめ:判断は医師と、準備はこの記事と
- 必ず事前に伝える:妊娠・その可能性・授乳中。問診票+口頭で
- 自己判断しない:勝手にやめない・黙って受けない。調整は医師にしかできない
- 伝える内容をメモして:週数・授乳の状況・不安の中身をそのままの言葉で
- 検査には調整の余地がある。伝えることが、選択肢を広げる第一歩
不安を抱えたまま検査室に来る必要はありません。その不安ごと、相談の場に持ってきてください。私たちは、そのためにいます。
※本記事は検査に関する一般的な考え方を紹介するものです。妊娠中・授乳中の検査の可否・時期・方法は、お一人おひとりの状況によって異なります。個別の判断は、必ず主治医・かかりつけの医療機関にご相談ください。

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